マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関し愛媛県は12日、中南予で農林業に従事する50歳以上の694人を対象に国立感染症研究所(東京)と実施した全国初のウイルス抗体保有調査の結果を公表した。医療機関から届け出のない抗体陽性者2人を確認。今後の詳細な解析で有効なワクチン開発につながる可能性があるという。
 陽性率は0.29%と限定的。264人(38%)にマダニにかまれる刺咬(しこう)歴があったが1人を除いて抗体は保有していない。今後ウイルスを持ったマダニにかまれると感染や発症の可能性が高いとして、県は草むらに入る際は肌を露出しないなど引き続き予防対策を呼び掛けている。
 抗体陽性者2人はともに八幡浜保健所管内でかんきつ栽培、畑作業に従事していた。60代の男性は刺咬歴があり、2年前にSFTSのような口のしびれや発熱症状で入院したが、感染は確認されなかった。
 一方、70代の女性は抗体は保有していたが刺咬歴は不明。県は「感染しても発症しない特異なケース」として発症の解明につながると期待している。